作品情報

「警視庁麻薬取締課 MOGURA」
企画・プロデュース:鈴木おさむ
原案:漢 a.k.a. GAMI
監督:志真健太郎、南虎我
脚本:ナラミハル
2025年1月 ABEMA オリジナルドラマとして配信開始(全6話)
視聴方法:Netflix(警視庁麻薬取締課 MOGURA/Netflix)
あらすじ
「従うべきは、法か自分かー。」
大麻の蔓延が社会問題となっている日本のとある都市。
大麻栽培が疑われるHIPHOPグループの一斉摘発を目的に、
現役刑事である主人公・伊弉諾(いざなぎ)に突如ラッパー集団への潜入捜査が命じられるー。
警察官がラッパーとして潜入捜査を行った実話を基に描くHIPHOPエンタメドラマ。
――公式サイト(https://abema.tv/lp/mogura-onair)より
感想(ネタバレあり)
潜入捜査って夢がある。
もちろん現実でこんな任務を引き受けたらメンタルが秒で崩壊しそうだけれど。
「警察官が大麻捜査のためにラッパーになった実話ベースのドラマ」というだけでワクワク。
細かいツッコミどころ――いきなりこれだけ上手くラップできなでしょ、大麻をそんな場所で育てる? あの市長はさすがにちょっと……等々あるけれど「警察官がラッパーとして潜入捜査」というところは事実という時点で勝ちです。
ナレーションがラップで入るのお洒落だなあと思っていたけど、彼は故人で物語のキーマンだったと中盤で明らかになる構成も良かった。
ラップ部分は全員、本職の方とのことなので圧巻です。
ラップバトルって要するに、悪口ダジャレ大会だよな……? と思ってしまうのでですが、カッコいいからOK!
どちらがより上手に詩的に相手をdisれるかで勝敗が決まるって、平和だし風流だなと思う。たぶん平安時代の貴族の歌合戦ってこんな感じだと思う(全然違ったらごめん)。
般若さんありきのドラマだから仕方ないと思うけど、「39歳子持ち、9門に憧れてラッパーになりたいです!」とかいう奴来たら、どんなにラップの才能があっても「お子さんのためにちゃんと就職しな?」って心配すると思う。
「おもしれーやつ」でOKしちゃう9門さんは懐が深い。
やたらと大物感を醸している火薬さん。
カッコいいのに最後までラップしないのかよ!
普段の喋りが、若干棒読みに聞こえる朴訥な雰囲気で、それが逆に色気があって良かったのに。
最後は超絶フロウをぶち上げて市長をdisってほしかったのに何もせず終わった。
たぶん伊弉諾のラップバトルで「やめる」という約束を忠実に守ったんだろうけど、作中一切ラップシーンがないのは衝撃でした。
最大の見せ場が車に轢かれるシーンとか、それはそれで面白いけれど。
ラップ部分は迫真の勢いだけど、それ以外の警察や市長周りはB級感満載で、それが逆に味になって良かった。
市長役の風間俊介は、なんかこんな役ばかりな気がする。
秘書役のニコニコおじさんだけちょっとホラーだった。怖い……。
そして渋くてイケオジの吹越満が見られたので私は満足です。
法で禁じられている以上、薬物は肯定できない。
文化的にラッパーと薬物が近い距離にあったとしても。
様々な議論があるけれど、ルールはルールとして尊重されるべきだと思います。
そんな現実の大前提があるなかで、ED曲にもある「法よりも自分に従う」という言葉がこのドラマのテーマ。
自分に従い大麻を受け入れた伊弉諾はもう警察官ではいられない。
家族、特に子供を悲しませないでほしいなとは思うんですけどね。
期待以上に面白くて、一気見したあとOPとED曲をダウンロードしてしまいました。
ドラマを思い出してまた染みる。
そして何より、火薬さんのラップが聞けるのはここだけ!!